今モーツァルトのニ長調のロンドKV485を練習している人が2人いて、それぞれがんばっています。
このロンドの主題は、左手の5の指の四分音符も支える感じで弾くのが難しいですし、右手の装飾音符の弾き方も迷いがちです。
この装飾音符(前打音)は、モーツァルトより後の時代、ロマン派の音楽とは弾き方が異なるものです。装飾音符の弾き方にも作曲された時代の様式があり、迷ったときには参考書もあります。今手元にあって、時々広げているのは2冊。
橋本英二「バロックから初期古典派までの音楽の奏法」音楽之友社2005
エファ&パウル・バドゥーラ=スコダ「モーツァルト演奏法と解釈」音楽之友社2016
「モーツァルト演奏法と解釈」という本は旧版を持っていたのですが、新版が出たとのことで入手しました。さすが新しい本。裏表紙にQRコードがあって、そこから本の中の譜例の音(演奏)が聴けます。前打音(単音アポジャトゥーラ)の参考音源もあります。
この2冊は、もちろん装飾音符だけではなくて、その時代の演奏法についてとても詳しく書かれていて頼れます。
ロンドというのは、曲のテーマ(主題)をAとすると、A B A C A D A・・・というようにAが何度も出くる形式です。
このロンドの主題の16分音符の前打音は、滑ったり鋭くなったりしないで、拍の頭にそろえて16分音符として弾くと、すっきりしてきれいです。43小節で左手に同じ形が出てきた時にも弾きやすくなります。モーツァルトのトルコ行進曲、有名な冒頭の右手がまるで16分音符4つ書いてあるように弾くのを思い浮かべると(実は最初の音は前打音)、弾き方に納得がいくと思います。
私は小学校4年生まで石川県金沢市で、松井澪子先生に習っていました。このロンドは松井先生と公開レッスンに金沢にいらした安川加寿子先生に教えていただいたことをよく思い出します。