聖フィリポ

昨年、フィレンツエの教会で、A S.FILIPPOという曲を演奏しました。

モンシニョール・ルイージ・セッサ混声合唱団と一緒に歌う曲ということで、送られてきた楽譜です。

 

聖フィリポ・ネリの生誕500年の記念演奏会で、オラトリオの創始者、聖フィリポを讃える歌ということで想像する格調高い音楽、とは少し異なり、意外に明るく楽しく、元気で綺麗な曲でした。

 

今年に入ってから、思いがけず知人からのメールで、聖フィリッポについて

教えてもらいました。いただいたメールによると、

 

 <この人は、フィレンツェ生まれで、オラトリオ会(修道会)の創始者のようです。オラトリオは、元々は祈祷室という意味で、彼が集会を開いていた祈祷室から修道会の名をつけたそうです。
バッハのクリスマス・オラトリオとか、ハイドンのオラトリオ「天地創造」のように、オラトリオという音楽ジャンルがありますが、それもこのネリに起源があるようです。
 フィリッポ・ネリの時代は、宗教改革の時代で、ネリは、ルターやカルヴァンらの宗教改革運動に対抗するカトリックの側の「反宗教改革」(改革に反対という意味ではなく、プロテスタントに対抗してカトリックもちゃんと変わろうとしてるんだぞという姿勢を示す意味の改革運動。イエズス会の運動が有名)の運動を熱心にしていたようです。>

 

フィレンツェに行く前に勉強すればよかったのですが、今頃になって、「聖フィリポ・ネリ 喜びの預言者」(柳沼千賀子著・ドン・ポスコ新書)を読みました。

 

 

フィリポ・ネリ神父は、いたずら好きで、ユーモアと明るさを愛し、楽しい人だったそうです。隣人に接するときには、できるだけ楽しく振る舞うように、説いていました。「陽気でいなさい、陽気であり続けるように。陽気さは完徳に達する最良の方法です。それに対し、憂鬱は善の道から遠ざかってしまいます。」 カトリック教会の改革のために努めた聖フィリポ・ネリは、若者たちに「楽しさ」には人の心を獲得し、人を徳の道へ導く力がある、と伝えたそうです。

 

この本を読んで、「A S.FILIPPO」の曲の明るさの理由がわかった気がしました。