リズムとは?

 

リズムのという言葉の語源は、古代ギリシャ語のルトモス、形、形式などの意味があったそうそす。

日本語に訳そうとすると、「律動」。(この訳には異論もあることでしょう。)

リズムという言葉は、音楽に限らず、舞踊、文芸、美術、社会生活、生物学など多くの領域で使われています。生活リズム、睡眠リズム・・・聴こえるものだけではなく、視覚的なものにもリズムを感じます。絵画、光の点滅、手足の動作、文章、機械の動きなど。「リズミカル」という言い方もします。

 

音楽辞典によれば、リズムは音楽における「時間的な諸関係を示す」ために多様に使われる用語である、とのことです。

ロシアの心理学チェプロフは、「リズムは時間的経過の組織化」と定義しました。徳丸吉彦先生によれば、「音楽に関する時間に対する構造または組織化を示す時にリズムという語が用いられる傾向がある。」

考えてみれば、音楽自体、目に見えない時間でできています。

 

ふだん何気なく使っている「リズム」を説明しようとすることは、意外に難しいことです。

音楽におけるリズムの定義は、時代や、文化の音楽感を反映して様々あります。

 

たとえば、「音楽の3要素」として、リズム、メロディー(旋律)、和声と並べる考え方もあります。でも。世界中には、西洋音楽の和声がない音楽もあります。旋律も西洋音楽の音階に当てはまらないもの、五線の楽譜には書き表せない音楽もあります。ですから、「音楽の3要素」という考え方は万全ではないようです。音楽が3要素でできている、とは思っていませんが、音楽の中で、リズムが大切な要素であることは確かです。

 

でも、今私たちは実用的な西洋クラシック音楽に基づいて学習しています。その中で、リズムはどのように説明されているでしょうか。

 

楽典の教科書には、

「一定の音が切れ目なく続いている場合には、その音は聴く人に対して時間の切れ目を感じさせない。しかし、一定の音が、何回かに分けて聴こえる場合などには。時間経過の「刻み」を感じさせる。この刻みが、リズムである。」

「音楽通論」という教科書には、

「ひとつの単位時間の中で行われる種々の音符の組み合わせ」と説明されています。

楽譜を読むための学習の中で、楽譜に表されているリズムを正しく理解すること、演奏することはもちろん大切です。リズムソルフェージュなどのトレーニングも有効です。

 

もちろん、楽譜に書いてあること以上のリズムもあります。楽譜に書き表しにくいリズムというべきでしょうか。

たとえば、ウィーンナーワルツの3拍子、メトロノームとは違います。2拍目が少し強調されて、早く、その分少し長くなっていることがあります。もちろん楽譜には書けません。

モーツァルトのピアノソナタの中の付点のリズムの付点8分音符と、16分音符の本来3:1であるはずの音価が、実際どのようにひかれているか、という研究を読んだことがあります。有名なピアニストの演奏を比べて、同じ曲でも、ほとんど複付点のように鋭く弾く人、2.5:1ぐらいで弾く人、様々な結果でした。4:1ぐらいがやや多かったように記憶していますが、もちろんぼんやり聴いていたら、違和感はないので、気づきにくいけれど、解釈と個性が表れています。