調整的音楽療法

音楽療法には、多くの方法があります。

その中のひとつ、「調整的音楽療法」について、去年森平直子先生のお話を聞きました。

 

「音楽療法」というと、ヒーリングミュージックを聴いてリラックスするようなイメージや、自閉症の治療を目的として、歌ったり、音楽的活動をすることなどを思い浮かべます。ところが、「調整的音楽療法」(Regulative Musiktherapie:RMT)というのは、リラックスすることともなく、歌うこととも異なります。「クラシック音楽を聴きながら、心や、身体からの声に耳を傾け、自分自身の状態や、周囲の環境を上手にとらえ、本来の力を自然に発揮できるようになることを目指すもの」です。 私の印象なので正確ではないかもしれませんが、音楽を一生懸命聴くことによって、自分の心と向き合って「調整」することから「調整的」というのだと思います。音楽にはいろいろな力があり、つまり、いろいろな使い道があり、音楽療法にも様々なものがありますが、この「調整的音楽療法」における音楽の使い方は、意外な感じがしました。音楽を聴くことが、自分や、自分の周囲を観察するためのツールになるのです。実際に体験しましたが、先生の指示に従って、音楽を聴くと、とても充実した時間になりました。耳を澄ますことが、他の感覚も鋭くさせ、客観的になれる、ということに気づきました。先生の言葉によると、「考えても仕方ないことを考えていることに気づく」。実際には、トレーニングなので、一定期間規則正しく行うそうです。