芥川賞の「おらおらでひとりいぐも」。
宮沢賢治「永訣の朝」にでてくる言葉がタイトルなので、「孤独」を描いた作品を想像していました。
想像が外れていたわけではなかったのですが、孤独や寂しさの中に少し可笑しさがありました。
主人公の桃子さんは、ラジオから流れてきたジャズを聴きながら、ひとり狂ったように体を動かして踊ります。
悲しみにはちきれそうになった頭を内側からガンガンとはたかれたような気がして。
63才で芥川賞を受賞された若竹千佐子さん。同世代の私には心に染みるところがたくさんありました。
桃子さんの悲しみは家族を失ったことにあります。夫が亡くなり、息子が離れて行ったこと。
桃子さんの独り言。
「母親は何度も何度も自分に言い聞かせるべきなんだと思う。
自分より大事な子供などいない。自分より大事な子供などいない。
自分がやりたいことは自分がやる。簡単な理屈だ。子供に仮託してはいけない。仮託して、期待という名で縛ってはいけない。」
中学校の国語の授業で習った 宮沢賢治の「永訣の朝」では、とし子の言葉
「あめゆじゅとてちてけんじゃ」と「Ora orade shitori egumo」が賢治の言葉の間に聞こえてきます。
国語の町井陽子先生は、朗読がすごく上手でした。
他にも宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」を暗記して語ってくださいました。
生徒に読ませるだけでなく、先生が一語一句間違えず暗誦してくださっていたことを何十年も覚えています。
a Orade Shitori egumo