また台風が近づいているようです。
日曜日、超大型台風が直撃という中、日帰りで大阪に伴奏に行ってきました。
帰りの新幹線が止まったりしないか心配しましたが、無事帰ることができました。
往復の車内で、遅ればせながら今年の直木賞と本屋大賞を受賞した「恩田陸・『蜜蜂と遠雷』」を読みました。
ピアノのコンクールが舞台です。登場人物が奏でるピアノの音、曲を描く言葉に圧倒されました。
音楽を説明する言葉の難しさは常に感じています。
レッスンしていてもそうです。
言葉で説明するより、弾いてみせれば良いわけですから、説明能力は向上しません。
百聞は一見に如かず、と言いますが、音楽の場合は逆に、百説明するより、実際にその曲を聴けばわかる、百の解説より、一聴。
よく、名曲解説のような本に、「堂々とした第1主題のあとに、感傷的で抒情的な第2楽章が続く」というようなあまり役に立たない説明があります。
私の語彙力もその程度かな、と思います。
『蜜蜂と遠雷』では、ピアノの音楽が文学、言葉の力によって鮮やかに想像できることに驚きました。
音楽の専門家でない著者の、ピアノ曲に対する深い理解に感動しました。
去年、本屋大賞を受賞した「宮下奈津・『羊と鋼の森』」を読みました。
ピアノの調律師が主人公でした。やはりピアノの音が美しく、透明に描かれていました。
優れた作家たちに愛されるピアノの音。
あらためて、大切にしたいと思います。