カッチーニのアヴェ・マリア

今年の発表会で、Yさん(史寛がレッスンに伺っています。)が弾いてくださった「カッチーニのアヴェ・マリア」。

たくさんの歌手、演奏家がさまざまなアレンジで演奏してきました。

ソプラノ歌手が一番多いのでしょうけれど、ピアノソロでも、他の楽器でも、クラシック以外の編曲も。

今から思えば、ちょっと真面目に聴けば、16世紀の音楽でないことは明らかなのに、プログラムに「カッチーニ」と書いてしまいました。

「カッチーニ」が、どの時代の作曲家なのかをよく考えていなかった、ということもあります。

(本当は、誰が、どんな時代に、どのように作曲したか、ということを知ることが大事です。)

 

ジュリオ・カッチーニ(Giulio Caccini, 1545年頃 - 1618年12月10日)はイタリア・ルネサンス音楽末期、バロック音楽初期の作曲家。

「カッチーニのアヴェ・マリア」を作曲したのは、本当は、1970年頃ソ連の音楽家ウラディーミル・ヴァヴィロフ(Vladimir Vavilov 1925-73)。

つまり、ずいぶん大勢の人がヴァヴィロフに騙されてきたわけです。

カッチーニの時代、バロック音楽にはその時代の様式があり、いわゆる「カッチーニのアヴェ・マリア」の「アヴェ・マリア」だけが繰り返される歌詞、なんだか20世紀の映画音楽風の美しいメロディや和声とは全く異なります。

 

ヴァヴィロフが、どのような意図で自分の書いた歌曲の作曲家をカッチーニと偽ったのかはよくわかっていないそうです。

せっかくの自分の歌を他の人の作品にすることによって、なにか宣伝効果があったのでしょうか。

偽の作曲家の名前が語られてきたことはいい話ではないと思いますが、ヴァヴィロフ作曲「カッチーニのアヴェ・マリア」は名曲です。